フィリップ・ゴーレイヴィッチ「ジェノサイドの丘 −ルワンダ虐殺の隠された真実(上)(下)」(WAVE出版 2003)ASIN:4872901584 ASIN:4872901592

Andy2004-05-22


 アフリカ内陸部の小国ルワンダ。四国の約1.4倍の面積に、850万人の人々が暮らす。
 '94年4月、この国で大虐殺が起きた。人口の85%を占める多数派フツ族が、マチェーテ(山刀)とマス(釘を埋め込んだ棍棒)を手に、少数派民族であるツチ族を襲ったのだ。百日間に殺されたツチ族は80万人とも100万人ともいわれる。単純に平均しても毎時間300人以上が殺されたことになる。国連を初めとする国際社会は大虐殺を知りながら、介入を避けツチ族を「見殺し」にした。
 恐ろしいのは、この虐殺が事前に周到に準備されていたことだ。
 政府の要職はフツ族で占められ、フツ至上主義のポップスターの歌がラジオから流れる。「フツ族十戒」(「第八 フツ族ツチ族に情けをかけることをやめねばならない」)という本が出版され、ハビャリマナ大統領はこの本を誉めそやす。学校ではツチ族の子供たちは差別された。そしてひとたび大統領の暗殺という大事件が起きると、それはツチ族反政府組織の仕業とされ、フツ族は公然と虐殺を開始する…。 
 この本は、アメリカ人ジャーナリストによるルワンダ大虐殺のルポである。虐殺を生き延びた人々の話から描き出される虐殺の様子には寒気がする。そんな状況の中で、ホテルに避難した千人の人々をなんとか救おうと奔走した支配人ポール・ルセサバギナの逸話(そしてそれは辛くも成功する。)には唯一救われる思いがした。


ルワンダに関する情報】
ルワンダ共和国概要(外務省)
 http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/rwanda/data.html
ルワンダに対する渡航情報(危険情報)の発出(2003/12/18)(外務省 海外安全ホームページ
 http://www.pubanzen.mofa.go.jp/info/info4.asp?id=131#header
ルワンダ情勢(Soka国際支援ネットワーク)
 http://www.issue.net/~sun/fields/rwanda.html


【書評、情勢解説等】
▼隣人による殺戮の悲劇 −94年にルワンダで起こった大量虐殺を読み直す(大場正明ホームページ「crisscross」)
 http://c-cross.cside2.com/html/bp0ri001.htm
ツチ族フツ族(対外情報調査部)
 http://arab.fc2web.com/rwanda/tuti-futu.htm
ルワンダ大虐殺と国連(次世代情報都市みらい)
 http://www.mirai-city.org/blog/archives/000024.php


【ルポ、旅行記NGO活動記録等】
ルワンダ 10の断章(REALTIME PRESS)
 http://www.realtime-press.com/millcolins00.htm
ルワンダ〜虐殺の野で(アティッラさんのギュゼルな旅)
 http://www.geocities.co.jp/SilkRoad-Lake/5816/rwanda.html
▼旅先風信58「ルワンダ
 http://hourouotome.hp.infoseek.co.jp/fusin58.html
ルワンダ難民写真集(フォトとメッセージ)
 http://poco.cool.ne.jp/kaigai/rwanda/indexrwanda.html
▼大虐殺のその後 ─ ルワンダNGO AMDA)
 http://www.amda.or.jp/journal/rwanda/


【映画、TV】
▼「ルワンダ虐殺の100日」(Film"100DAYS")公式サイト(英語)
 http://www.100daysinrwanda.net/Home.htm
  映画を観た人の感想
  http://www.realtime-press.com/note021020.htm
プロジェクトX「悲劇のルワンダ 希望の義足」
 http://www.nhk.or.jp/projectx/139/